日本唯一のダブルアーチ形式「大倉ダム」
2026年07月28日
「大倉ダム」は、仙台市中心部を流れる広瀬川上流の大倉川にあり、昭和36年10月に竣工しました。
最大の特徴は、幅広い谷を中央のスラストブロック(人工アバット)の両側に伸びた2連のアーチで堰き止めたダブルアーチ形式となっており国内最大規模、戦後に建設されたダムとしては国内唯一となっています。
【目的】
⑴ 治水
大倉ダムの計画高水流量は、1,200㎥/sを400㎥/sに減少させ、下流広瀬橋地点で2,500 ㎥ /s を1,800 ㎥ /s に減少させるため。
ダムの満水位はEL270.60ⅿと定め、制限水位EL263.35ⅿまでの貯水容量1,000万㎥を洪水の調節量としています。
洪水期間は、7月1日~9月30日までの3ヶ月と定め、この間、貯水位を制限水位EL263.35ⅿまで低下させ、洪水調節容量を確保するため。
ダムには4門の放流ゲート(W=8.86m×H7.55m)を備え、洪水調節と水位維持の放流に使用するため。
⑵ かんがい
ダムからの直接取水によるかんがい用水は、広瀬川下流の愛宕堰、郡山堰から仙台市南東部の水田地帯にも供給しています。
⑶ 上水道
仙台市、塩竃市に上水道用水として日最大15.5万㎥/日を供給しています。
⑷ 工業用水
工業用水は、広瀬川、生瀬橋下流四谷堰から取水し、大梶浄水場より、仙台市、塩竃市、多賀城市の工業地帯に10万㎥/日供給しています。
⑸ 発電
大倉発電所は、ダム上流右岸の東北電力取水専用施設から最大6.5㎥/sを取水し、最大出力5,200kWの発電を行っています。発電に使用された水は大倉川に放流され、水道用水と工業用水のほか、下流のかんがい用水にも使用されています。
大倉ダムは貯水位の変化が大きく、使用水量に制限があることから、当時使用されていた水車形式(カプラン水車、フランシス水車等)ではなく、水車に可変翼をもつ立軸渦巻斜流水車が世界で初めて採用されました。
大倉ダムより5㎞上流にある「定義山(定義如来西方寺)」は平清盛の家臣平貞能ゆかりの寺院であり、また縁結びや安産のご利益があるとされ、週末は観光客で混み合っています。
名物「三角あぶらげ」には行列ができ、定義こけし等の土産物屋も賑わう観光名所となっています。
※大倉ダムは地形特性を考慮した我が国唯一のダブルアーチダムであり、多目的ダムとして仙塩地域の人々の生活や産業を支えてきた歴史的価値が認められ、令和5年度に土木学会より選奨土木遺産へ認定されています。
